おくればせながら、能登半島地震で被災された方々へ心よりお見舞い申し上げます。
今朝のニュースで、被害を受けられた富山市立図書館が再開されたことを知りました。
約10万冊の本が床に散乱したとのこと。
元旦(休館)ということで人的被害が抑えられたことは不幸中の幸いであったと思います。
そしてわずか10日間で復旧させた職員の皆様には頭が下がる思いです。
再開を待ちわびていた利用者さんの温かいコメント、労いのお言葉に、思わず目がうるみました。
何気ない日常に、ありがたみを感じます。
今できることを真摯にやっていくしかないですね。
私の職場でも、地震への対策と、地震発生時の利用者の誘導について、改めて見直していたところです。
今日たまたま「資料保存」についての本を読んでいると、
2011年の東日本大震災の津波で被災した、陸前高田市の図書館の感動の実録がありましたので、ここでご紹介したいと思います。
岩手県陸前高田市にある市立図書館は、津波により7人の職員全員が犠牲となり、すべての蔵書8万冊が流出しました。
泥とカビで手つかずの状態が約一年続き、ようやく救済活動が始まります。
ここにしかない貴重な郷土資料も多く発掘され、岩手県立図書館が中心となり、どの資料をどう残すかの検討がなされました。
岩手県立博物館に引き取られたもの、盛岡大学図書館においてデジタル撮影保存されたもの、東京都立図書館へ修理依頼したもの、それぞれの資料がいちばん良い方法で再生、保存することに成功したのです。
そこには、図書館員たちの涙ぐましい努力と、あきらめない心がありました。
当時、東京都立図書館で修理を担当した、本書の著者でもある眞野節雄氏は、資料状態をみたときの思いをこう綴ります。
「これは犠牲になった図書館員たちの形見だ」と。
そして発掘、救出作業にたずさわった図書館員は、泣きながらこう言います。
「郷土資料をもう一度集めます。陸前高田市の歴史を残し、伝えていきたい」と。
なんとしても資料を生き返らせるという熱意と、
この土地の「記憶」を、時代を越えて伝えていくんだという強い使命感に、ただただ身の引きしまる思いがしました。
「歴史」とは、たんに「資料」が伝えるものではなく、その資料を作った人、保存し伝えていこうとした人、そのすべてが「歴史」である。
著者のこのお言葉が、このたび被災された図書館員の方々への希望となりますように。
本書は、図書館資料保存の取り組み方、修理の意味、考え方についてのバイブルでもあります。本を愛する多くの方々にぜひ読んでいただきたく思います。