Ranun’s Library

書物の森で溺れかける

その他

なんとなく不安なときにも効く『お釈迦さまの処方箋』平岡聡

2年前からひとり暮らしをしている長男。大学受験は後期試験までしぶとく粘り慌ただしく出ていったきりなので、彼の部屋の本棚は未だ大量の参考書や赤本で埋め尽くされている。こんなに勉強してたのだろうか?としみじみ眺めていると、ふと仏教の本が何冊か…

『はじめてのギリシャ神話解剖図鑑』河島思朗監修

西洋古典学ご専門の、河島思朗先生より賜りました『はじめてのギリシャ神話解剖図鑑』(2023) 。大変ありがたいことです! 本書は、ギリシャ神話にまつわる基礎知識から専門知識まで、イラストや図を用い、わかりやすく解説された図鑑です。入門書?とはいえ…

カズオ・イシグロの書評からたどる Uchi 論がおもしろい『水商売からの眺め : 日本人の生態観察 』ジョン・デイビッド・モーリー著

「うち」という言葉は、外国人からすると、たいそう奇妙であるらしい。関西では、おもに女性が「私」の代わりに用いたりする。他にも、うちの子に限って、うちの人、うちの会社、うちらの世代、、、など、老若男女、津々浦々、よく耳にする言葉ではないだろ…

読んでいない本について堂々と語る方法

『読んでいない本について堂々と語る方法』を最近知りました。衝撃です。なんとこの書籍、2007年にフランスで出版されるやいなやベストセラーとなり、30か国以上で翻訳されました。著者は、文学教授であり精神分析医でもあるピエール・バイヤール。特異な観…

『うき世と浮世絵』で『浮世の画家』を想う

内藤正人著『うき世と浮世絵』は、「浮き世」ということばの語源や、「浮世絵」の生誕と歴史がわかる学術書です。江戸時代に産声を上げた浮世絵は、時代とともに進化を遂げ、近年のサブカルチャーや、外国文化に影響を与えてきました。その数は意外と多いこ…

ニコライ・ゴーゴリ『鼻』

なんとなくそこにあったから読んだ本。 と言ってはお恥ずかしいほどに、これが本当に面白くて、コメディドラマの映像が浮かんでくるほどだった。 短編小説『鼻』("Нос" , 1836)鼻/外套/査察官 (光文社古典新訳文庫)作者:ゴーゴリ光文社Amazon 舞台はロシア…

『古代ローマごくふつうの50人の歴史』無名の人々の暮らしの物語 :河島思朗著

河島思朗先生の最新著書『古代ローマごくふつうの50人の歴史』を読みました。古代ローマ ごくふつうの50人の歴史作者:河島思朗さくら舎Amazon 本書は難しい歴史書の趣とは違い、古代ローマへ気軽にタイムトリップできるような一冊です。普通の人、ごく一般…

巨人族の滑稽譚『パンタグリュエルとガルガンチュア』 by フランソワ・ラブレー

・・・正直なところ、ここで学ぶものといったら、 笑いをのぞけば、ほかに利点はございません・・・ 著者ラブレー自身のお言葉。 いきなりこう宣言されたら、なんだか力が抜けちゃいますね。 時にシュールで、時にお下劣な「痛快ほら話」、確かに笑い飛ばす…

『イワン・イリッチの死』トルストイ

「悲劇もあまりに微細に書くと、喜劇になる。悲しみが、笑いに転化する、、、」 とは、まさにこの作品のことではないかと思う。 (『百冊で耕す』近藤康太郎著、第四章「わからない読書」P.105 より) イワン・イリッチの死 (岩波文庫 赤 619-3)作者:トルス…

悔恨と郷愁による再起の物語『トーニオ・クレーガー』トーマス・マン

トーマス・マンの『トーニオ・クレーガー』(原タイトル:Tonio Kröger , 1903 )を読みました。 トーニオ・クレーガー 他一篇 (河出文庫)作者:トーマス・マン河出書房新社Amazon(河出文庫・平野 卿子訳 , 2011 ) 本書はトーマス・マンの代表的な青春小説で…

『ガウェイン卿の物語』ニール・フィリップ著 

映画『グリーン・ナイト』の字幕監修をされた岡本広毅先生の翻訳『ガウェイン卿の物語』~アーサー王円卓騎士の回想~ (2022) を読みました。(原タイトル:The Tale of Sir Gawain / Neil Philip , 1995 ) 『グリーン・ナイト』のお話が第四章に収録されてい…

ゴンドの樹の神話   ”The Night Life of TREES ” ~夜の木~

インドはゴンド族の、木にまつわる神話をご紹介。 この圧倒的な存在感を放つ大型絵本は、なんと一冊一冊が手作りなのです。 驚くほど美しい発色と、手にすっと馴染みむ温かい感触。 部屋にそっと立てかけておけば、絵画をみるように、ずっと眺めていたくなり…

『インドへの道』E.M.フォースター

『インドへの道』は、インドのチャンドラポアという架空の村を舞台に、複雑な人間関係のおりなす長編小説。E.M.フォースターの長編小説6作品のうち5作目にあたり、『眺めのいい部屋』『ハワーズ・エンド』に続く名作である。インドへの道 (ちくま文庫)作者…

『司書:宝番か餌番か』ゴットフリート・ロスト

人類最古の職業といわれる「司書」。 この職業に特化した書籍で、これほど機知に富んだものを私は他に知らない。 とにかくとても面白い!! 司書―宝番か餌番か作者:ゴットフリート ロスト白水社Amazon 司書という仕事は、誤解されやすいし、理解されにくい。…