Ranun’s Library

書物の森で溺れかける

2022-01-01から1年間の記事一覧

ゴンドの樹の神話   ”The Night Life of TREES ” ~夜の木~

インドはゴンド族の、木にまつわる神話をご紹介。 この圧倒的な存在感を放つ大型絵本は、なんと一冊一冊が手作りなのです。 驚くほど美しい発色と、手にすっと馴染みむ温かい感触。 部屋にそっと立てかけておけば、絵画をみるように、ずっと眺めていたくなり…

奇妙な創造物の小冊子『幻獣辞典』J.L.ボルヘス

ボルヘスの『幻獣辞典』を読みました。幻獣辞典作者:ホルヘ・ルイス・ボルヘス晶文社Amazon幻獣辞典 (河出文庫)作者:ホルヘ・ルイス ボルヘス河出書房新社Amazon 原タイトル : El libro de los seres imaginarios El libro de los seres imaginarios/ The Bo…

『インドへの道』E.M.フォースター

『インドへの道』は、インドのチャンドラポアという架空の村を舞台に、複雑な人間関係のおりなす長編小説。E.M.フォースターの長編小説6作品のうち5作目にあたり、『眺めのいい部屋』『ハワーズ・エンド』に続く名作である。インドへの道 (ちくま文庫)作者…

『アトラス : 迷宮のボルヘス』 J.L.ボルヘス

ボルヘス晩年期の世界旅行記『アトラス』。アトラス―迷宮のボルヘス (^Etre・エートル叢書)作者:ホルヘ・ルイス ボルヘス現代思潮新社Amazon原タイトル:Atlas , 1983 本書は実に不思議である。 まさに副タイトルのごとく、迷宮の旅へのいざない。ページをめ…

城壁と書物『続審問』J.L.ボルヘス

ボルヘスは、書物と図書館をこよなく愛した人である。 そしてまたユニークな一面も持ち合わせていた方だと私は思う。 エッセイ集『続審問』(Otras inquisiciones 1937-1952) でも、そのことが節々にうかがえる。38タイトルから成るこの評論集は、おもに文学…

『シエラレオネの真実 : 父の物語、私の物語 』アミナッタ・フォルナ

秋の夜な夜な、この本を読んでいると、 コオロギの風情ある鳴き声が、 いつしか悲痛な叫びに変化していくような不思議な感覚をおぼえました。 アミナッタ・フォルナのノンフィクション。シエラレオネの真実――父の物語、私の物語 (亜紀書房翻訳ノンフィクショ…

良いことも、悪いことも、覚えておきたい『The Hired Man』Aminatta Forna

アミナッタ・フォルナの3冊目の小説『The Hired Man』(2013) を読了。 この作品との出会いは、以前読んだ『ユリイカ:カズオイシグロの世界』 (2017) の中にありました。本作で描かれる、個人の友愛と、民族間に潜む集団的記憶が、カズオ・イシグロの『忘れ…

トールキンの寓話『ニグルの木の葉』Leaf by Niggle

J.R.R. トールキンの『ニグルの木の葉』(Leaf by Niggle , 1945) は、 大人のおとぎ話のような、とても深いおはなしです。 あらすじ 二グルは無名の絵かきだった。 親切心が過ぎて、頼まれごとを断れない。 いつか長い旅に出なければならないのに、 描きかけ…

『司書:宝番か餌番か』ゴットフリート・ロスト

人類最古の職業といわれる「司書」。 この職業に特化した書籍で、これほど機知に富んだものを私は他に知らない。 とにかくとても面白い!! 司書―宝番か餌番か作者:ゴットフリート ロスト白水社Amazon 司書という仕事は、誤解されやすいし、理解されにくい。…

映画「上海の伯爵夫人」カズオ・イシグロ

カズオ・イシグロ脚本の映画『上海の伯爵夫人』 ( 2005 ) を観ました。 原題:The White Countess 監督:ジェームズ・アイヴォリー 『日の名残り』(1993) に続き、ジェームズ・アイヴォリー監督の2作目。 美しい映像と、凛とした佇まいの俳優陣は『日の名残…

ジョージ・エリオット、ただひとつの歴史小説『ロモラ』

世界史にうとい私は、歴史小説ときくと、つい身構えてしまいます。 が、エリオット渾身の大作、これを読まずして、現在進行中である私の「ジョージ・エリオットブーム」の幕は下ろされません!ということで、意を決して飛び込んでみました。 舞台は15世紀イ…

『サイラス・マーナー』ジョージ・エリオット

ジョージ・エリオット『サイラス・マーナー』を読了。サイラス・マーナー (光文社古典新訳文庫)作者:ジョージ・エリオット光文社Amazon 原タイトルSilas Marner, 1861 Silas Marner(classics illustrated) , 2022 の表紙の絵がとても素敵です。 ジョージ・エ…

『ダニエル・デロンダ』ジョージ・エリオット

世の中には避けがたい不運というものがあって、 一方の得がもう一方の損である、、、、、 こういうことは出来るだけ少なくしたい。 こういうことを募らせておもしろがることがないように、、、 主人公ダニエル・デロンダが、ヒロインのグエンドレンに向けた…

『ミドルマーチ 』ジョージ・エリオット

ジョージ・エリオット作『ミドルマーチ 』。 (廣野由美子訳:光文社 , 2019 1~4巻) 原タイトル Middlemarch, A Study of Provincial Life, 1871 ミドルマーチ1 (光文社古典新訳文庫)作者:ジョージ・エリオット光文社AmazonMiddlemarch (Everyman's Libra…