Ranun’s Library

書物の森で溺れかける

2024-01-01から1年間の記事一覧

なんとなく不安なときにも効く『お釈迦さまの処方箋』平岡聡

2年前からひとり暮らしをしている長男。大学受験は後期試験までしぶとく粘り慌ただしく出ていったきりなので、彼の部屋の本棚は未だ大量の参考書や赤本で埋め尽くされている。こんなに勉強してたのだろうか?としみじみ眺めていると、ふと仏教の本が何冊か…

春、新たなるやかた

沼が散在する書物の森を抜けだし、この春から、ここ関西大学総合図書館でお世話になることになりました。大阪、私大ということでかなり新鮮に映ったものの、そういえば私は生まれも育ちも大阪だった!ということを思い出し、懐旧の情が湧きだしてきた。元気…

『はじめてのギリシャ神話解剖図鑑』河島思朗監修

西洋古典学ご専門の、河島思朗先生より賜りました『はじめてのギリシャ神話解剖図鑑』(2023) 。大変ありがたいことです! 本書は、ギリシャ神話にまつわる基礎知識から専門知識まで、イラストや図を用い、わかりやすく解説された図鑑です。入門書?とはいえ…

本当は怖い「バベルの図書館」

ホルヘ・ルイス・ボルヘス(1899-1986)の「バベルの図書館」を巡っては、世界中の読者の想像力を掻き立ててきたことだろう。私もそのひとり。出会いのきっかけは、映画『薔薇の名前』(原作、同タイトル Il nome della rosa ウンベルト・エーコ著 , 1980 )…

カズオ・イシグロの書評からたどる Uchi 論がおもしろい『水商売からの眺め : 日本人の生態観察 』ジョン・デイビッド・モーリー著

「うち」という言葉は、外国人からすると、たいそう奇妙であるらしい。関西では、おもに女性が「私」の代わりに用いたりする。他にも、うちの子に限って、うちの人、うちの会社、うちらの世代、、、など、老若男女、津々浦々、よく耳にする言葉ではないだろ…

珠玉の文学的遺書:ボルヘスの『シェイクスピアの記憶』

昨年末出版されたばかりの「シェイクスピアの記憶」は、ボルヘスによる最晩年の作品。 「文学的遺書」とも呼ばれている。 数多ある短編のなかで、唯一翻訳されていなかった作品だと知り驚いた。 本邦初邦訳ということで、大変ありがたく読ませていただいた。…

読んでいない本について堂々と語る方法

『読んでいない本について堂々と語る方法』を最近知りました。衝撃です。なんとこの書籍、2007年にフランスで出版されるやいなやベストセラーとなり、30か国以上で翻訳されました。著者は、文学教授であり精神分析医でもあるピエール・バイヤール。特異な観…

「記憶」を伝え残していく使命~知られざる震災後の図書館員の物語~

おくればせながら、能登半島地震で被災された方々へ心よりお見舞い申し上げます。 今朝のニュースで、被害を受けられた富山市立図書館が再開されたことを知りました。 約10万冊の本が床に散乱したとのこと。 元旦(休館)ということで人的被害が抑えられたこ…