Ranun’s Library

書物の森で溺れかける

『はじめてのギリシャ神話解剖図鑑』河島思朗監修

西洋古典学ご専門の、河島思朗先生より賜りました『はじめてのギリシャ神話解剖図鑑』(2023) 。大変ありがたいことです!



本書は、ギリシャ神話にまつわる基礎知識から専門知識まで、イラストや図を用い、わかりやすく解説された図鑑です。入門書?とはいえ、かなりの情報量が盛り込まれていますので、隅々まで目を通すと読み応えたっぷりです。


第一章、天地創造~神々の世界と人間の誕生
第二章、英雄たちの活躍~大冒険ファンタジー
第三章、戦いの時代~トロイや戦争とオデュッセイア


という流れになっていますが、気の趣くまま、どこから読んでも楽しめるようになっています。


ギリシャ神話の神々や英雄は、ゲームやアニメのキャラクターに起用されているほか、多くの文学、星座、絵画、そして音楽においても、モチーフとして多彩に扱われていますが、その数の多さにあらためて驚いてしまいます。


用語としては、例えば「アテナイ」(現アテネ)は女神アテナに由来していて、「アマゾン」は女性部族アマゾネス、「タイタニック号」はティタン神族、「ナイキ」は女神ニケ、「ヘリウム」は太陽神ヘリオスなど、枚挙にいとまがありません。


「これが由来!」というマークが付けられているところは必読です。


古代から現在まで、国を渡り、海を越え、これほど多くの物、事柄に影響を及ぼしたギリシャ神話とは、いったいどんな魅力があるのか、本書を読めばきっとなにか見つかるはずです。


個人的には、王女アリアドネの恋にまつわる「アリアドネの糸」のエピソードがお気に入り。迷宮脱出のカギとなった「赤い糸」に神秘を感じます。


アリアドネの糸」はまえがきでも触れられています。
ギリシャ神話を知る旅路が、曲がりくねった迷宮を進むような、わくわくするような冒険となり、本書がアリアドネの糸になることを願っています」というお言葉からも、神秘的想像が膨らんでいきますね~。


ぜひ本書でワクワク感を味わってみてください。


古代ローマの、普通の人たちの暮らしぶりを、職業を通して解説されているこちらの書籍もオススメ。
ranunculuslove.hatenablog.com


※河島先生の一般向け講座はとてもわかりやすい!
毎年のようにローマを訪れていらっしゃるようで、こちらの講座も楽しそう。
www.asahiculture.com